pixiv as Game engine【pixiv SUMMER INTERNSHIP2020】

1エンジニアがpixivの企画職インターンに参加してみた

タイトルを見て、何のこっちゃ…と思われた方がほとんどだと思います。

これは、pixivの企画(ビジネス)職向けインターンに参加した、1エンジニアがpixivをゲームエンジンとして捉えるようになった経緯を纏めたものです。エンジニアと言っても、大したことはできなくて、現状はUnityで表現活動を行っています。詳しくは私達のWebサイトをご覧ください。(PC閲覧推奨)

私達と言う表記は、自分の中に「現家」と「夢想家」と言う2つの人物がいることに由来します。こちらに関しても、Webサイトをご覧ください。

https://web.sfc.keio.ac.jp/~t20008ya/OurWeb/Aboutus.html

まず初めに、エンジニアが企画職のインターンに参加しようと思ったのかと言うと、今回の企画テーマが「オンラインとオフラインを繋ぐ」、「今こそリアルを考えよう」と言ったものであったからです。私達のうちの1人は「現家」と言う肩書きの元、「テクノロジーで現実世界をアップデートしていくこと」を目標にしています。その目標と、今回のテーマが深く共鳴し、今回のインターンに応募してみることにしました。

 

面接とか

B1なのでインターンはこれが初めての経験でした。(通っているキャンパスの性質上、1年のうちから通期インターンをしている人は周りにチラホラいますが…)

一般的な人事の人に答えるべきことや面接のハウツーなども何も知らないまま面接に臨みました。面接では、人事の方とは最初と最後に事務的なやりとりをしただけで、実際の面接は企画職として働かれているピクシブの方によって行われました。(後のメンターになるわけですが)。前述の通り、面接に関しては何も知らないので、とにかく自分のやってきたこと、その動機を述べました。「現家」として史上初のオンライン学園祭「バーチャル七夕祭」に協力したこと、オンライン授業の問題点を解決する議論をしていること、潰れてしまった入学式を自分たちで企画していること(成功しました。)などなど、様々なことを述べました。そして、現家としての活動の根底にある「この世界は今幸せな人に最適化された世界である。たまたまこの世界に馴染めなかったと言うだけで、一度きりの人生を無駄にして欲しくない。そんな人でも楽しめる世界を提供したい。」と言う夢と、Unityを含むプログラミングの知識などは、それを実現するための手段として習得したと言うことを述べました。このイシュードリブンな姿勢がピクシブの社風と合っていたらしく、インターンに参加させていただくことになりました。(私達の通っている慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスのアドミッションポリシーもまさにこの通りです。)

 

インターン活動

インターンは8時間×3日間。

この期間中に、オンラインとオフラインを繋ぎ、リアルを問い直すと言うのは、時間的にはちょうどよかったと思います。私は、初日をアイデア発散のフェーズと位置付けました。今回のテーマに沿って考えた案を4つ提示し、どれが最も面白く、実現性が高いかをメンターの方と一緒に検討していきました。すると、一番自身の無く、大して内容も詰まっていなかった「pixiv Worlds」と言う企画が適していると言うことがわかりました。これは、

「世界観を提示して、それにいくつも創作を連ねる

 何をアップロードしても自由

 自分たちだけの世界」

と言う3行の文章で内容は完結しています。

残りの2日間で、いかに実現性を持たせて面白い企画とするかが鍵となりました。

二日目

まずは、先行事例を当たることにしました。すると、pixivのユーザ企画の中で「pixiv ファンタジア」と言うものが見つかりました。これは、企画主のarohaJさんが提示された世界観に対して、ユーザーがいくつもの創作を連ねていくと言うものであり、非常にpixiv Worldsとテーマが近いものでした。実際にpixivファンタジア関連で投稿された作品数を見てみると、非常に大きな数であることが分かり「上質な世界観」がクリエイターのモチベを向上させると言う推論を得ることができました。私達はこれを「建前のイシュー」とし、本音のイシューを深めることにしました。「本音のイシュー」とは、「pixiv Worldsは誰もが作り手になれる世界。自分たちが自分たちの住みたい、充実したい世界を作れる。」と言うものでした。これを実装するために、「世界観募集」→「世界決定」→「世界構築」→「移住」と言う4段階に全体の工程を分割し、それらを詰めていくと言う作業を行いました。ここでは具体的にどのような提言をしたのかは省きますが、世界を決定する時には、企画者によるプレゼンをYouTube Liveで行うことや、世界構築のGitHub化など様々な要素が盛り込まれています。

 

三日目

この日は役員の方を交えた最終発表があるので、ひたすら資料作りに精を出しました。私は現家である以上、現実と言う言葉に非常に重きを置いています。それが故、リアルとは何なのか、と言う定義から始まり、オンラインやオフラインと言った言葉を再構築していきました。その議論の延長上に、今回自分たちで作れるリアルとしてpixiv Worldsを提示し、将来の展望を踏まえた夢を語りました。正直、自分の夢に少しpixivを絡めてプレゼンしただけなのですが、それをとても評価していただき、非常にうれしかったです。自分の好きなことをただやるだけで、自他ともに嬉しくなれる。こんな素晴らしことがあるんだとう気概になりました。

 

ゲームエンジンとしてのpixiv

最近少しずつ聞かれるようになった言葉として、「ゲームエンジン」と言うものがあります。これは、ゲームを作るための共通のプログラム(重力の設定や、ボタンの動作、描画)などを予め組み込んでおり、少しのプログラムだけで簡単にゲームが作れるようなアプリケーションのことです。これらは、静止画、動画、音楽など様々なメディアをインポートし、ゲームのアセットとして使用できるようにする機能も備えています。

今回のインターンで私の心に残った言葉は、pixivファンタジア企画者のarohaJさんによる「pixivはゲームエンジンとして欠かすことのできない場所でした。」と言う言葉です。先の定義によれば、pixivはどう考えてもゲームエンジンではありません。pixivの中の人でない限り、pixivでコーディングすることはないでしょう。しかし、ゲームを「様々なメディアによって構成される世界」、ゲームエンジンを「様々なメディアによって世界を構成するツール」と定義しなおせば、たちまちpixivはゲームエンジンとなるのです。pixivファンタジアの事例では、イラスト、漫画、小説をpixivに投稿することによって、世界が形作られていきました。今回提案したpixiv Worldsが実装されることになれば、pixivにたくさんの世界が誕生することになります。しかも、pixiv Worldsは作って終わりでしたが、実際にロールプレイをして作った世界の中に住むこともできます。我々はメタバースが注目される時代において、常に新しい現実を作り出すにはヘッドマウントディスプレイに代表されるVR機器や、高ポリゴン な3Dモデルが必要だと思い込んでいました。しかし、人類は小説と言うメディアでははるか数千年も前から、妄想に至っては、もしかしたら数万年前から、1人1人独自の世界を心に秘めていました。そして、それを多くの仲間たちと作り、共有し、住むことができる時代にすでになっている。そのことを今回のインターンでは痛感しました。「これ、まさにSAOのThe Seedだね。」メンターの方に言われた言葉ですが、本当にその通りだと思いました。

 

謝辞

今回のインターンに携わってくれた、メンター・役員の方々に深く感謝します。共に企画に取り組んだ参加者の方々とも、一緒にご飯を食べながら盛り上がることができて、とても楽しかったです!本当にありがとうございました!

 

リアルはもう、1つじゃない

さあ、世界の種を播こう

pixiv Worlds