バーチャルな人間性【環境情報2020再現】

前置き

    高3の夏から明確にSFCを志望していて、小論文の勉強はとにかく楽しかった。学科試験のように完全な正解はなく、自分のやりたいこと・考えていることを書いて点が貰えることが嬉しかった。特に、総合政策よりも環境情報の方が自由度が高く、学部の3ポリシーも相まって第一志望にしていた。両学部に合格し、環境情報学部に進んでからも小論好きは抜けず、某予備校で小論文の添削バイトをしている。

    一方研究会では、小論文で書いたことを勉強でき、まさに夢がかなっている状態。そこで、自分の小論文を置いておいたら自己紹介くらいにはなるんじゃないかと思い、半年以上経って書き記すことにした。受験生の誰かに「このくらい変なこと書いても受かるなら、冒険しよう」と思ってもらえたら、尚更嬉しいかも。(無論、記述されているのは全て大袈裟なことであり、僕はラボに入って間も無くBrainsに現実を叩きつけられた。)

 

2020年度環境情報学部小論文問2

これからの30年で起こりうる社会システムの変容に、私たちの「人間性」はどのように影響しているでしょうか?また、こうした「人間性」を自覚した上で、あなたは未来社会においてどのように振る舞っていこうと考えますか?合計1000文字いないで、これからの「人間性」を論じるとともに、未来社会をよく生きるためのあなたの考えを述べてください。問1において導かれた4つの「人間性」を十分に理解した上で、このうちひとつ(または複数)を選択して議論を深めても、あらたな「人間性」を自身の生活のなかから見出して議論を展開しても構いません。

   私は、人間性を【3】の高次な 情報処理能力と捉える。未だ人間の意識は科学的に解明されておらず、人間と見分けのつかないコンピュータも存在していない。

   ところが、30年後までにこの人間性は崩壊する。

   現在、日本のムーンショット計画やイーロンマスクなどが脳とコンピュータを繋げる装置(以下、BMI)の開発に力を入れている。もしこれが実現すれば、脳から得られた情報をコンピュータに逐一送信し、脳活動を記録した巨大なデータベースが誕生する。それを元に機械学習を行い、実際にその脳波を発した人がどのような思考・行動を起こしたかを元に評価することで、人間の思考プロセスを模倣した完全なAIが誕生  する。こうなると、コンピュータ上でAIと人間の区別はつかなくなる。

   BMIは意識をコンピュータに接続することも可能にする。視神経に適切な電気信号を与えれば、我々は網膜からの刺激ではなく、コンピュータによって生成された映像を「見る」ことができる。他の5感に対しても同じことが言える。同様に、脳から神経系を通じて伝達される運動指令をコンピュータに出力することで、右手を上げると念じるだけで、コンピュータによって生成されたアバターの右手を上げさせることが可能となる。

     BMIによって我々はコンピュータの中に入り込むことができ、そこで人間と見分けのつかないAIと交流できる。これは、人間性の崩壊に他ならない。私は、この人間性の崩壊を逆手にとって、現代社会に不満を感じている人を救うという振る舞いをするだろう。

  現代社会において、一個人は皆平等と見なされている。一方で、現実問題としては所得、環境、身体、性格など様々な要素によって、社会に適合できない人間が存在する。一般的にはそれはその人自身の問題とされるが、私はあえて見方を変えて「環境がその人に適応していなかった」と捉える。

  私は人間性が崩壊する時代に、このような人達に全く新しい環境を提供したい。具体的には、その人に最適化された世界や思考・性格を持つAIを提供し、コンピュータの中で生活してもらうのだ。AIとは言いつつも、実際の人間とは見分けがつかないので、生活の質は現実世界とはなんら変わりはない。むしろ、その人に最適化されているという点で、上回っているとも言えるだろう。

  私は、人間性の崩壊を逆手にとって、たまたま1つしかない現実に馴染めなかった人達に対し、「最適な現実を与える」という振る舞いをすることで、未来社会を良く生きようと思っている。

 

1017字で字数オーバーになった。

本試験では8割弱しか書いてなかったので、余分なところがいくつか付け加わってるけど、だいたいこんな感じ。